シリアでの過激派組織「イスラム国」(IS)掃討について、トランプ大統領は28日、アラスカ州の米軍基地で演説し、IS支配地域を「100%制圧した」と述べた。シリア東部では制圧作戦が続いており、先走って「完全制圧宣言」をした形だ。
トランプ氏は「我々は想定されるよりもずっと早く制圧した」と自らの成果を強調し、「よいことだ」と誇った。トランプ氏は、米朝首脳会談が開かれたベトナムからワシントンに戻る途中、給油のためにアラスカに立ち寄っていた。
シリア東部では、米軍の支援を受けた少数民族クルド人主体の武装組織「シリア民主軍」(SDF)がIS最後の拠点に攻勢をかけている。ロイター通信によると、SDFの司令官はトランプ氏の宣言に先立ち、「1週間後に完全勝利を発表する」と語っていた。
宣言について、トランプ氏は2月上旬から「来週」「24時間以内」などと予告してきたがその都度、見送られてきた。
トランプ政権は、完全制圧を宣言した後に、シリアに駐留する全米兵約2千人を撤退させるとみられていた。だが、国内外からの異論が噴出し、数百人の米兵の駐留を継続する方針に変更している。(ワシントン=杉山正)