トランプ米大統領は6日、ホワイトハウスで開かれた雇用政策に関する会合で「米国に多くの企業が戻ってきている。安倍晋三首相と話した際、『日本は米国に少なくともさらに七つの大きな工場を出す』と言っていた」と述べた。安倍氏とのやりとりの詳細や発言の根拠は示していない。
トランプ氏は「七つ」の工場について「もっと多くないといけない。日本とは長く、あまりに多くの貿易赤字があった」と述べた。
トランプ氏は大統領就任前から米国の貿易赤字を問題視し、関税を使った保護主義的な通商政策を進めてきた。しかし、大規模減税を進めて米国内の消費を刺激してきたために、貿易赤字は増え続けている。6日発表の2018年の貿易統計では、米国のモノの取引の貿易赤字額(通関ベース)は過去最大となり、特に最大の赤字相手国である中国との間でも、2年連続で過去最高を更新した。
対日赤字額は横ばい傾向で、18年は中国、メキシコ、ドイツに次ぐ4位。ただ、トランプ氏は過去の日米自動車摩擦などの印象を強く引きずっており、前から日本もやり玉に挙げてきた。目玉公約だった貿易不均衡の是正が効果を上げていないだけに、今春に始まる日米二国間の通商協議でも圧力を強めそうだ。(ワシントン=青山直篤)