毎月勤労統計の不正調査の影響で、雇用保険や労災保険などが過少給付となった問題で、厚生労働省は12日、雇用保険を現在受給中の約76万人に18日から適正額での給付を始めると発表した。過去の受給者の追加給付対象者で住所が不明な人が多いため、ホームページで住所を登録できる仕組みや、追加額の目安を計算できる「簡易計算ツール」も同日に設ける。
追加給付の対象者はのべ約2015万人。雇用保険が2004年8月以降に受給したのべ約1942万人で、失業手当のほか育児休業や介護休業など様々な手当や給付が含まれる。労災保険は04年7月以降で、業務中のけがや病気で働けなくなった時の休業補償が約45万人、労災による遺族らが対象の年金給付が約27万人などだ。
適正額での給付は今回が初めてで、厚労省は今後、順次見直すほか、過去の受給者には船員保険が6月、労災保険が9~10月、雇用保険が11月をめどに追加給付を始める。ただ、のべ約1千万人の住所が分かっておらず、連絡がつかない可能性がある。
このため、「住所情報等登録フォーム」をホームページに設け、特に10年10月4日以前に氏名が変わった人▽住民票に記載された住所と異なる場所に滞在している人▽受給者の遺族らに登録を求める。
「簡易計算ツール」では、雇用保険の失業手当について、受給時の年齢や離職前の月収などを入力すれば1日あたりの追加給付額が分かるようにする。(松浦祐子)