政情不安が続くベネズエラで21日、独裁的な支配を強めるマドゥロ大統領に反発して暫定大統領就任を宣言した、グアイド国会議長の側近が情報機関に逮捕された。グアイド氏が同日、明らかにした。マドゥロ政権側は「犯罪組織のリーダーを逮捕した」と説明しており、グアイド氏や同氏を支持する米国は強く反発している。
逮捕されたのは、グアイド氏の事務所長を務めるロベルト・マレロ氏。グアイド氏によると、21日未明にマドゥロ政権の情報機関がマレロ氏の自宅を捜索し、身柄を拘束したという。グアイド氏は「これが独裁政権のやり方だ」と記者会見で批判し、「すべての政治犯の釈放に向けて力を尽くす」と述べた。週末に野党勢力が街頭で抗議するとした。
一方、マドゥロ政権の内務法務相は同日、マレロ氏について「テロリストの細胞」だとし、逮捕時の家宅捜索で、戦争用の武器と現金を押収したと述べた。
マレロ氏の拘束を受け、グアイド氏を支持するポンペオ国務長官やボルトン米大統領補佐官はツイッターで、マドゥロ政権を強く批判し、マレロ氏の即時解放を求めた。ボルトン氏は、トランプ大統領の言葉を引用し、「最もきつい制裁はまだ科されていない」とし、追加制裁を示唆した。
国連人権高等弁務官事務所はツイッターで、情報機関によるマレロ氏の拘束に懸念を表明した。(サンパウロ=岡田玄)