(28日、選抜高校野球 智弁和歌山13―2熊本西)
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天気掌握班、活気向上班、学力向上班……。これらはすべて、21世紀枠で第91回選抜高校野球大会に初出場した熊本西(熊本)の野球部の中にある。ユニークな班活動がチームを成長させてきた。
2月初旬、熊本市内の地元幼稚園で、園児と遊ぶ野球普及・地域活性化班のメンバーの姿があった。
子どもの野球人口を増やそうと開いた「ティーボール教室」。夢中でバットを振り、ボールを投げる子たちとふれ合い、選手からも笑顔がこぼれた。霜上幸太郎主将(3年)は「エネルギーをもらった。自分たちも甲子園でこんな風に楽しんで野球ができたら」。
同班は近隣のゴミ清掃でも中心になる。班員で捕手の伊藤惇太郎君(3年)は「捕手は打者の癖や仲間の守備など『気付き』が大事。小さなゴミも拾おうとすることでチーム全員の意識が変わってきた」と話す。
横手文彦監督(43)は2016年の就任以来、「高校野球のレギュラーを目指す前に、社会人としてのレギュラーを目指す」として日常生活の重要性を伝えてきた。班活動はその一環だ。役割を与え、部員が責任感を持って自分や周りのことを考え、積極的に提案するようになってほしい、との思いがある。
前監督から受け継いだ当初は練習・試合・生活の3班だったが、役割が細分化。気象庁のサイトで天気予報を確認し、練習メニューを決める「天気掌握班」、破れたネットを直す「ネット管理班」など、13ある班のいずれかに全部員が所属している。
グラウンドやベンチで誰よりも積極的に声を出すのは「活気向上班」の浦田健太郎選手(3年)。ミーティングではかれた声で「自分のようになるまで、まだ声が出せるはず」と仲間に促すなど、一人ひとりがチームを良くしようと動く。
甲子園入りしてからは、栄養班が宿舎の食事の栄養価について部員に説明。学力向上班が中心になって自習を進めた。
横手監督は「(選手の多くが)人任せ、親任せになっている。合言葉は『他人事から自分事へ』。役割を持つことが、プレーにもつながっている」と話す。甲子園では強豪相手に大差で敗れた。伊藤君は「全国レベルをより意識して練習したい」。各班員がひっぱってチーム全体の底上げがさらに必要だと気付き、夏への糧にした。(清水優志)
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熊本西野球部の班
天気掌握班▽活気向上班▽学力向上班▽ネット管理班▽時間管理班▽点呼班▽部室管理班▽鍵管理班▽マウンド管理班▽マシン管理班▽栄養班▽トレーニング推進班▽野球普及・地域活性化班(順不同)