(28日、選抜高校野球 智弁和歌山13―2熊本西)
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28日の第1試合で智弁和歌山に敗れた熊本西では、昨年11月、練習試合で仲間が亡くなる不慮の事故があった。選手や部員たちは、甲子園のグラウンドやスタンドで、友への思いを背にともに戦った。
三回1死一、二塁のピンチ。ベンチからの伝令でマウンドに集まった選手たちは、笑顔で空を見上げた。エースの霜上幸太郎君(3年)は「気持ちを切り替えたい時は空を見よう。『上で見てくれているぞ』と話していた」。
マネジャーを含む45人で一体となって部を運営してきた。ところが昨年11月中旬の練習試合で、同学年の部員(当時16)が頭部付近に死球を受け、亡くなった。21世紀枠の辞退も検討したが、遺族から「野球の中のこと。誰も恨みません」と言われたという。
「笑顔が特徴で、野球が大好きなやつだった」と霜上君。水無瀬亮佑君(3年)は「あいつのために甲子園にいく。それだけ考えて野球してきた」と話す。
この日は「一緒に甲子園を」と遺影を手にした同級生らが、アルプススタンドから声援を送った。谷山聖道君(3年)は「甲子園に立てなかったあいつの分まで、メンバーに頑張ってほしい」と声を張り上げた。
「甲子園で2勝」の目標には届かなかった。だが、試合では二回に連打から先取点をあげた。横手文彦監督は「チーム全体で悲しみを背負ってきた。45人でもぎとった点」と声を詰まらせた。霜上君は「一緒に戦っていたので、またこれからがんばろうと言いたいです」と振り返った。(清水優志、角詠之)