東京福祉大の元教授が10日に文部科学省で会見し、元理事長が留学生の受け入れをめぐって「4年間上手にやりゃあ、120億(円)入る」などと発言したとする録音の音声を公開した。元教授は、「元理事長が留学生を大量に受け入れる大方針を決めた証拠だ」と主張している。同大は5千人以上の留学生を受け入れる一方、約700人が行方不明になるなどしており、文科省などが実地調査をしている。
東京福祉大の留学生700人が所在不明 国が実地調査
会見したのは、昨年3月まで同大心理学部教授を務めていた田嶋清一氏(71)。大学側による解雇が無効だとして提訴し、現在も関連の訴訟で争っている。
田嶋氏によると、音声は2011年に同大であり、元理事長や大学幹部が参加した会議を録音した内容。音声の中で「総長」と呼ばれている人物が、同大や関連する専門学校への留学生の受け入れについて触れ、「4年間上手にやりゃあ、120億入る。どうだいすごいだろ、このアイデアは」などと発言。さらに「そしたらガバチョ、ガバチョ」などと、「がっぽり」といった意味の言葉を使っている。田嶋氏によると、元理事長は「総長」と呼ばれていた。
録音内容は訴訟にも証拠として提出されている。大学側は3月に出したコメントで、「私的な集まりで元理事長が留学生募集を強化する案を大学関係者に話した」としたうえで、大学が留学生を「研究生」として募集することを本格化したのは16年度からだと主張。「発言はそれより約5年前のことで、因果関係はない」としている。
同大をめぐっては、3月26日に文科省が法務省とともに実地調査に入り、留学生を除籍した理由や履修状況などを調べた。柴山昌彦文科相は会見で「調査した内容を精査し、必要な改善指導を行う」と述べている。(増谷文生)