話し合いの内容が漏れないように、できるだけ密室で……。そんな会議室の常識が変わってきた。その変化が映すのは、会議のあり方や会社が目指す方向性だ。
ガラスの向こう側で、5人の社員が話し合っている。経営企画部の打ち合わせだという。別の部屋では約30人の営業担当者らが、パソコンの画面を見つめている。テレビ会議を使って北海道支店とつないでいるという。この部屋もガラス張りで、真剣な表情までよく見える。
ペット保険を手がける東京・新宿のアニコム損害保険のオフィスには、全面ガラス張りの会議室が並ぶ。どんなメンバーでどれだけの時間会議をしているか、ほかの社員からもはっきり見えるのだ。
開放的な会議室を作ったのは、仕事はできる限り「見える化」するとの経営方針からだ。担当者は「他の部署の雰囲気や忙しさが想像できると話しかけやすくなって、部署どうしの協力も進む」。
神戸市西区にあるアシックスの研究所。4人の部長の席が扇の要のような位置に並び、それぞれの部下が放射状に座る。4年前に増築されるまで、部署ごとフロアが分かれていた。部長の1人は「違う部と一つの仕事をすることもある。部長が隣にいるから、気軽に情報交換できる。風通しが良くなった」。
オフィス設計を手がけるオカムラによると、密室の会議室は減り、開かれた場所に打ち合わせスペースを置く企業が増えている。また、イスを置かない「立ち会議」のための部屋は急激に増えているという。ダラダラと長い会議を減らそうと考える企業が増えているためだ。
ワークプレイスデザイン部の後…