住宅設備大手LIXIL(リクシル)グループの潮田(うしおだ)洋一郎会長兼CEO(最高経営責任者)が18日、東京都内で記者会見し、5月20日に開く予定の取締役会で取締役を退任すると発表した。6月の定時株主総会後に会長兼CEOを退く意向も示した。山梨広一社長兼COO(最高執行責任者)も同席し、6月の株主総会で取締役を退く意向を示した。海外の機関投資家が両氏の取締役解任を株主提案するため臨時株主総会の開催を求める中での突然の辞任表明となった。
リクシル、新旧トップ全面対決 きっかけは会食時の反論
LIXIL会長の解任を要求 機関投資家が人事巡り批判
昨秋にCEOを退いた瀬戸欣哉(きんや)氏が今月、CEOへの復帰を目指して潮田氏ら経営陣に退任を迫る構えを見せたばかり。新旧トップが経営権を奪い合う「全面対決」の様相を呈していたが、潮田・山梨両氏が一転して退任を表明したことで、首脳人事を巡る攻防は新たな局面を迎えた。
LIXILは18日、イタリアの子会社の損失計上に伴い、2019年3月期の業績予想を大幅に下方修正するとあわせて発表。純損益が530億円の赤字(昨年10月時点の予想は15億円の黒字)に転落する見通しを明らかにした。
潮田氏は、子会社の損失が瀬戸氏のCEO在任中に生じたもので、瀬戸氏が伊子会社の再建に乗り出したり、取締役会に経営状況を報告したりしなかったと説明。「赤字の一義的な責任は瀬戸さんにある」と厳しく批判した。「瀬戸さんを起用したことは最大の失敗だった」と述べ、自らの退任の理由を瀬戸氏の任命責任だと述べた。
LIXILは昨年10月末、瀬戸氏がCEOを退任し、創業家で取締役会議長だった潮田氏が会長兼CEOに、社外取締役だった山梨氏がCOOに就く人事を発表。この首脳人事が不透明だとして複数の機関投資家が3月、潮田、山梨両氏の取締役解任を求めて臨時株主総会の招集を求めた。LIXILは5月下旬にも臨時株主総会を開く方向で準備していたが、その前に両氏が退任を表明した形だ。
潮田氏らの会見を受けて瀬戸氏も18日、記者団の取材に応じた。伊子会社は潮田氏が買収を決めた会社で、瀬戸氏がCEOに就く前から業績不振だったなどと説明し、「業績悪化を理由とした辞任で臨時株主総会を回避しようというのは話のすり替えに思える」と潮田氏の主張に強く反論。自身を含む8人の取締役候補を6月の定時株主総会で株主提案し、CEOへの復帰をめざす考えを重ねて示した。(田中美保、高橋尚之)