シヤチハタ(名古屋市)が25日、働く女性を意識した文具の新商品を売り出す。開発したのは女性社員3人。手帳や伝言用スタンプを商品化してきた。息の長いシリーズを手がける「隠れたヒットメーカー」だ。
「ハンコにこだわるな」シヤチハタの意外なヒット商品
女性チームは2004年に発足し、今のメンバーは神山かおるさん(44)、武田あやさん(37)、鈴木由香利さん(33)。部署が異なり、ふだんの仕事とは別の業務と位置づけている。現在は8商品が売られている。
今回の新商品は、ペットボトルや洋菓子の小袋に名札をつける「わたしの物タグ」。職場の冷蔵庫は、いろんな人の飲み物や菓子が混在する。「名札」をつければ誰のものかはっきりする、という発想だ。
神山さんらの手がける文具は「オピニ」というシリーズ名がついている。オピニオン(意見)に由来し、女性の意見を反映している点をアピール。女性が職場で抱く不満や要望に応える文具づくりがねらいだ。アンケートを実施し、文具のイベントにも出展。女性の声を広く集めている。
05年に売り出した主力の手帳「スケジュールノート」は毎年改良版を出す人気作。記入欄をドット(点)の方眼にして文字を書きやすく、きれいに見えるようにした。上司の予定を書く「Boss(ボス)」欄も。「上司の予定は把握したいが、自分の予定欄に書き込むのはしゃくだ」という声をとりいれた。
「お願いごとスタンプ」は「ご確認ください」「承認お願いします」といった定型文をスタンプ化。「同じ内容を何度も手書きするのが面倒」という不満を新商品につなげた。茶色のインクと手書き風の字体を使い、柔らかい印象を出した。同じ発想で、今年2月には「ふせん用伝言メモスタンプ」もつくった。ふせんにスタンプを押すと「電話あり」「来訪あり」のチェック欄ができるので、伝言メモが簡単につくれる。
神山さんは「働く女性がストレスを感じていないかを探り、商品化している。仕事へのやる気と効率を高めるサポートをしたい」と話す。(竹山栄太郎)