近く行われる見通しのロ朝首脳会談に向け、開催地とされるウラジオストクで準備とみられる動きが慌ただしくなっている。
会談の時期についてロシア大統領府は「4月後半」とだけ発表し、日程や場所は「安全上の配慮」を理由に明らかにしていない。
首脳会談の会場とされるウラジオストク郊外の極東連邦大学では20日から校舎への部外者の立ち入りが禁じられ、会場準備が進んでいる模様だ。ある校舎内の会議室で作業していた男性は「この部屋はプーチン大統領が使う」。また警備員の男性は「この棟は見通しがよく、狙撃されやすい。首脳会談は別の棟だ」と話した。
一方、金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長のウラジオストクまでの交通手段は、2001年、父の金正日総書記が訪ロした際と同じ特別列車との見方が強まっている。
ロ朝関係に詳しい外交関係者によると、正恩氏は23日に特別列車で平壌を出発、24日朝にも到着する見通し。この関係者によると、正恩氏は24日はウラジオストクの北朝鮮総領事館などを訪れ、プーチン氏との会談は25日の予定だという。
先週から正恩氏の秘書役がウラジオストク駅や極東連邦大学などを視察している。市内の水族館や劇場に立ち寄ったとの情報もある。正恩氏が経済視察を検討している可能性もある。
2月の米朝首脳会談が物別れに終わり、北朝鮮は停滞する米朝協議の打開に向け、ロシアの支援を求めているとみられる。ロシア大統領府のペスコフ報道官は「我々は別々の大陸にいるわけではなく、国境を接しているのだ」として、協力関係を深める考えを示している。(ウラジオストク=石橋亮介、武田肇)