上司と部下の葛藤や夫と妻の愛憎を詠み、会社員らの共感を集める「第一生命サラリーマン川柳(サラ川〈せん〉)」。始まったのは1987(昭和62)年で、30年余にわたって時々の流行や世相を映してきた。昭和、平成、令和へと時は流れても、哀愁に満ちた句への関心は衰えない。
第32回のベスト10が、23日発表された。昨年9~10月に募集があり、今年1月に平成最後の優秀100句を選定。約10万7千人の投票で、ベスト10が選ばれた。
1位は、3446票の〈五時過ぎた カモンベイビー USA(うさ)ばらし〉。男性グループ「DA PUMP」の昨年のヒット曲に乗せて、仕事が終わった解放感を表現している。今回は働き方改革やシェアリングエコノミーを詠んだ句も数多く、〈メルカリで 妻が売るのは 俺の物〉が3032票で3位になった。
年代別の投票結果も公表した。20~30代はメルカリの句が1位だが、40~50代の1位は〈ノー残業 趣味なし金なし 居場所なし〉で、中年層の悲哀が伝わって共感を呼んだようだ。60代以上の1位は〈いい数字 出るまで測る 血圧計〉。高年齢層の健康への関心の高さがうかがえる。
第32回サラリーマン川柳のベスト10
(1)五時過ぎた カモンベイビー USA(うさ)ばらし
(2)いい数字 出るまで測る 血圧計
(3)メルカリで 妻が売るのは 俺の物
(4)ノー残業 趣味なし金なし 居場所なし
(5)「やせなさい」 腹にしみいる 医者の声
(6)やっと縁 切れた上司が 再雇用
(7)手紙書き 漢字忘れて スマホ打ち
(8)下腹が 気づかぬ内に ひょっこりはん
(9)U・S・A 流行りにのれない まあいっさ
(10)叱っても 褒めても返事は 「ヤバイッス!」
■「本物の ビールを買ったら……