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漂流した夏、14歳だった 脳裏に焼き付いた船を探して

東京・霞が関の高層ビル。


地下1階にある飲食店街で、南雅和さん(50)はベトナムレストランを営む。フォーやカレーが評判の店は平日の昼、サラリーマンで満杯だ。


夏になると、南さんにはよみがえる記憶があった。命の恩人のことだ。思いを募らせ、「SHONANMARU」という名前をインターネットで検索し、図書館で調べた。店に来る客とも話題にした。「力になりましょう」と言ってくれる人もいた。


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南さんの母国での名は、ジャン・タイ・トゥアン・ビン。ベトナム戦争の後、親米の南ベトナム政府の役人だった父親が逮捕され、出国を決意した。


1983年8月、長さ14メートル、幅3メートルの小さな木造船に、老若男女100人余りが乗り込み、沖へ、沖へとめざした。船内には足をのばす隙間もなく、燃料は3日で底をついた。食料もなくなり、他人の尿を飲んで飢えをしのいだ。


遠くに船影が見えたのは、漂流…


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