米アップルのスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」が、米中摩擦の激化で苦境に陥っている。高価格化などで販売が失速する中、アップルは米トランプ政権が進める対中制裁関税「第4弾」からの除外を要望。日本企業が深く関わるサプライチェーン(部品供給網)も揺れている。
「国際競争力に重くのしかかる」
米政府のサイトで20日公開されたアップルの意見書には切実な訴えが並んだ。
第4弾では、中国からの3千億ドル(約33兆円)分の輸入品に対し、最大25%の追加関税を課す。大半が中国で組み立てられているiPhoneは直撃を受ける見込みで、アップルは意見書で「米経済への貢献が損なわれる」などとして対象からの除外を切望した。
iPhoneは中国などで売り上げが低迷しており、昨年10~12月期の売上高は前年比15%減、今年1~3月期も同17%減と大きく落ち込んだ。米市場では第4弾への影響度合いに関心が集まっており、クレディ・スイスは、北米での平均価格の13%相当のコスト増と試算。JPモルガンは販売価格を14%引き上げる必要が出る、と分析した。
だが、最上位機種はいま1千ドル(約10万7千円)を超え、値上げは消費者離れを招きかねない。JPモルガンはコスト増を「自社で吸収する可能性が高い」とみるものの、そうすると1株当たりの利益が14%減る可能性があるという。
そんな中、米紙ウォールストリート・ジャーナルは20日、アップルが東南アジアに生産拠点を移転する検討を始めたと報じた。中国リスクの回避にはつながるが、実現するには数年がかりになるとみられる。(サンフランシスコ=尾形聡彦)
「アップル依存」脱却探る日本メーカー
世界に広がるサプライチェーン…