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森のわんちゃん、保健所へ… 後でわかった意外な事実



通称「どんぐり山」。住宅街の一角にあり、車や人通りの比較的多いこの場所でマロンは10年近く過ごした=2019年4月、福岡市中央区輝国2丁目、小野大輔撮影



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「どんぐり山」と呼ばれる小さな森が、福岡市中央区の住宅街にある。


「窓」記事一覧


灰色の雲が低く垂れ込めたある朝、その森で、1匹の犬が数人の男性たちに取り押さえられた。


体は白く、首から上が茶色いメスの中型犬だった。


車に乗せられていく様子を偶然見かけた工事現場の警備員が、車が立ち去った後、スマホをとりだして電話をかけた。


「あの犬が、連れて行かれました」


電話を受けた橘秀美さん(51)はお礼もそこそこに通話を終え、心当たりの番号を呼び出した。




捕獲された後、保健所にあたる福岡市東部動物愛護管理センターのウェブサイトに公開された際のマロン。ここで与えられた名前は「d1148」。身をかがめて警戒している様子がわかる=2018年12月



橘さんが、どんぐり山で最初にその犬を目にしたのは10年ほど前だった。当初は3匹ですみ着いていたが、いつしか2匹は見かけなくなった。


1匹になった犬はいつもしっぽを下げていた。えさをあげようと近づいても、ほえることなく、山に逃げ込んだ。この1、2年は、やせ細り、坂道を駆け上がることもなくなった。


ある晩、橘さんはその犬が山の…


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