豊島(とよしま)将之名人(29)=王位、棋聖と合わせて三冠=への挑戦権をトップ棋士10人が争う第78期将棋名人戦・A級順位戦(朝日新聞社、毎日新聞社主催)2回戦の全5局のうち、最初の一局として稲葉陽(あきら)八段(30)-糸谷(いとだに)哲郎八段(30)戦が4日、大阪市福島区の関西将棋会館で指され、先手番の稲葉八段が勝って、今期A級の成績を2勝0敗とした。敗れた糸谷八段は1勝1敗となった。
永世七冠 羽生善治
名人への道 藤井聡太
稲葉八段は、A級順位戦は4期目。
初参戦の第75期(2016年度)で、いきなり8勝1敗の好成績を収め、プレーオフ無しで、名人挑戦権を獲得した(次点は、6勝3敗の3棋士)。佐藤天彦・当時名人との七番勝負も、第1局と第3局を制し、2勝1敗とリードし、名人奪取まで、あと2勝と迫った。その後、3連敗して、惜しくも敗退したが、「稲葉あり」と存在感を示したシリーズだった。
2期目だった第76期(2017年度)は、出だしから2勝4敗と黒星が目立ったが、その後、4連勝。最終成績は6勝4敗で、同じ成績で6棋士が並び、プレーオフにもつれこんだ。プレーオフ最終戦で羽生善治・当時竜王に敗れ、稲葉八段の2年連続名人挑戦は成らなかったが、強さを示した。
一方、3期目だった第77期(2018年度)は、3勝6敗で、10人のA級棋士のうち、上位から8番目の成績だった。下位2人が、一つ下のB級1組に降級するが、前期の稲葉八段はギリギリで残留を果たした。(佐藤圭司)