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球児支える養護学校 ボール補修、「甲子園へ」思い一つ

「下北から甲子園へ」を合言葉に、青森県むつ市の県立大湊高校野球部と県立むつ養護学校高等部の生徒が、6月から交流活動を始めた。日ごろの練習で傷んだ硬式ボールの補修をむつ養護の生徒たちが請け負い、大湊の野球部は受け取った思いを胸に甲子園をめざす、そんな協働作業だ。


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6月17日、大湊高校体育館で初の交流会があった。むつ養護の生徒たち8人が、高等部の生徒12人で補修した硬式ボール200個を持参し、手渡した。


表面の革が破れたボールでも、補修すればトスバッティング用や室内練習用として使えるからと、むつ養護の生徒たちは汚れを落とし、表面に青や赤、緑、ピンクなどのビニールテープをきつく巻いて球状に整えた。作業には2日かかった。


33人の部員がいる大湊高野球部では年に何百個もの破損ボールが出るという。新品は1個800~1千円するため、おいそれとは補充できない。試しに20個ほど直してもらい使ってみたところ、「もう使えないと思っていたボールが普通に使える」(3年の下川雄大主将)と驚いた。補修したカラーボールを変化球用、白球を直球用と使い分けることで、それぞれの球種への対応を練習できることもわかった。


下川主将は「こうして自分たちをサポートしてくれる人がいる。この思いを胸に絶対甲子園に行きたい」とお礼を述べ、野球部から一人ひとりに同校の応援用ユニホームをプレゼント。捕球の仕方やバッティングを手ほどきし、ミニゲームをしてもてなした。


交流は、むつ養護の藤川治也教諭が旧知の飛内尚人監督に持ちかけた。今年3月までむつ養護にいた教員が昨年秋、よしみの八戸西高校野球部と始めた同様の取り組みを地元で続けたかった。わずか半年間だったが、むつ養護の生徒たちが「人から認められ、必要とされる」体験を重ねて、生き生きするのがわかったからだ。


1時間半余りの交流会が終わり、歓迎のお礼にむつ養護高等部1年の北村輝来(きらら)さんが「ボールがぼろぼろになっても、私たちがきれいにします。だから、ボールのことは気にせずたくさん練習して、私たちやむつ下北の人たちを甲子園に連れて行ってください」とあいさつ。野球部員たちはハイタッチで見送った。(伊東大治)


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