全国高校野球選手権大会の京都大会で7日、17歳の三つ子のうちの2人がバッテリーを組む東舞鶴が登場した。エースは長男の斎藤稜(りょう)君(3年)、捕手は三男の聖(さとる)君(同)。試合に敗れたが「最後の夏にバッテリーを組めてよかった」。日星(にっせい)(京都)で投手を務める次男誠君(同)の健闘を祈る。
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寡黙な稜君と明るい聖君。性格は違うが、野球では息が合う。この日の洛西戦でも聖君のリードに、稜君はほとんど首を振らなかった。
0―1で迎えた五回表1死二塁のピンチ。聖君はマウンドに行き、兄に声をかけた。「楽に! 切り替えろ」。落ち着きを取り戻した稜君は、聖君のサインを信じて投げ、縦のスライダーで後続2人を内野ゴロに仕留めた。
試合は3―10で敗れた。聖君は「自信をもっとる直球」と要求した決め球を狙われた。「いつも以上に球威も気迫もあったのに」。試合後、聖君は腕で涙をぬぐった。稜君は涙をこらえながら「自分の直球を信じてくれた配球で投げやすかった」。2人は「最後の夏、兄弟で組めてよかった」と口をそろえた。
3兄弟は小学3年で野球を始めた。キャッチボールの相手は父親の長人(ながと)さん(51)だった。同じ中学で野球部に入ると、近所の田んぼ脇の道路でキャッチボールし、投球フォームを確かめ合った。
誠君だけ別の高校に進み、稜君と聖君は寂しかったが、ライバルとして対戦する日を待った。
5月19日には練習試合で3人の兄弟対決が実現。長男と三男がバッテリーを組み、次男は打席へ。3兄弟がそろった。それを知っている会場もわいた。日星が勝ったが、帰宅した後は投手の稜君と誠君が投げ方について意見を出し合ったという。
2人は、できれば誠君と公式戦で戦いたかった。日星の初戦は8日。聖君は誠君にこう伝える。「上にいけるようにがんばれよ」。誠君は「2人の思いも背負って勝ちたい」と意気込む。
長人さんは「3人とも野球を始めて10年目。ここまで続けてくれてうれしい」と話す。(高井里佳子)