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4月に骨折、小6以来の左打ち 日向坂46に救われた

(6日、高校野球京都大会 宮津8―0向陽)


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二回表、向陽の8番打者の左翼手、大嶋勇輝君が左打席に入った。フルカウントから振り抜いたが、バットは空を切った。


大会直前までは右打者。4月4日の練習試合で左翼への飛球が風で流れ、頭から飛び込んだとき右手小指を複雑骨折した。全治3カ月。春の府大会は間に合わない。「夏もダメかも」と眠れない日が続いた。


救いは仲間の言葉だった。幼なじみの中堅手の林田栞太(かんた)君は、手術前日にお見舞いに来た。自らもけがをした経験を話してくれ、少し気持ちが楽になった。右翼手の東嗣温(あずましおん)主将は「ゆっくりでいい。焦らず治せ」と励ましてくれた。


「元気出してください!」。2年生の後輩、野元勇君から骨折の翌日、LINEのメッセージが届いた。アイドルグループの日向坂(ひなたざか)46の動画が見られるウェブサイトのURLが貼られていた。アイドル好きの大嶋君を気にしてのこと。笑いがこみ上げた。


練習に復帰したのは6月3日。まだ小指が痛い。右打ちだとうまくバットを握れない。左打ちだと痛みが薄れた。左打席は小学校6年生以来だった。1週間ほど後、練習試合でも左打席へ。そこそこやれた。夏に間に合うと思うと、ぞくぞくして笑みがこぼれた。


この日、3打席で安打なし。でも、左打席でフルスイングした。守備では何度も飛球を追いかけた。四回は初めて打者3人で切り抜け、最後は左飛。笑顔でベンチに戻った。六回の3アウトはすべて左飛だった。


試合後、「1カ月では足りなかったけど、今までで一番楽しい試合だった」。涙と笑みが入り交じった。(紙谷あかり)


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