福島大会は11日、1、2回戦の9試合があり、本格的に始まった。帝京安積は白河実に劇的なサヨナラ勝ち。郡山対決で注目された一戦は、安積が郡山商の猛追を1点差で振り切り、各4球場で好試合が繰り広げられた。
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志願の三塁コーチ 全う 福島・餘目光洋選手
「こっからだぞ」。守備を終え、ベンチに帰ってくる福島高校ナインをハイタッチで迎える。攻撃に向け選手たちがベンチ前で円陣を組むのを尻目に、三塁方向に駆けて行く。「三塁コーチ」が餘目(あまるめ)光洋君(3年)のポジションだ。
バットを短く持ち、中前にはじき返す打撃が持ち味。だが、一塁の守備には不安があり、4月の練習試合では捕球ミスを続け、プレーも消極的になってしまった。
「三塁コーチに専念します」。直後に監督と仲間にそう伝えた。「スタメンで出られないのは悔しかったけど、一番チームに貢献できることを選びました」
三塁コーチは、走者が本塁に進むかどうかを伝える。打球の速さや、守備の位置を見てすぐに判断する。心がけたのは、大きな声と身ぶりで指示すること。でも、頭は冷静に。
11日、家を出る前に母・小百合さん(48)に声をかけられた。「とにかく目いっぱい声出してね」。ハイタッチして、家を出た。試合におそらく出番がないことは、母も分かっていたが、球場に駆け付けた。
相手は長年のライバルの福島東。相手投手の前に、打線が0点に抑えられ、手をグルグル回す場面はなかった。唯一の見せ場は三回。1死二、三塁で打者がセカンドゴロを放った。「ゴーだ」。声を張り上げたが、走者は本塁でタッチアウト。それでも、「積極的に行った結果。悔いはないです」(小手川太朗)