|
野太い声と高い声。6月中旬、放課後の岡山学芸館(岡山県)のグラウンドには、二つの野球チームのかけ声が響き合っていた。 ニュースや動画をリアルタイムで!「バーチャル高校野球」 4年ぶりの夏の甲子園をめざす硬式野球部と、この春できたばかりの女子硬式野球部。汗だくになりながら、懸命にバットを振る藤本莉央さん(1年)は、女子野球部員13人をまとめるキャプテンだ。 兄の大稀(たいき)君(3年)は硬式野球部。内野も外野も守れる器用な選手だ。軽快な動き、正確な送球に莉央さんはずっと憧れている。近くでプレーする兄のことがいつも気になってしまう。 ◇ 小学1年で兄がいた少年野球チームに入った。同級生に「負けた」とは思わなかったが、兄は別格。「妹の方がうまい」とからかうチームメートもいたが、「やっぱりうまいなあ」と思うことばかりだった。 中学でも兄と同じ野球部に。人一倍、声を出し、一塁の守備では打球を怖がらないことを自分に課した。3年では、男子がほとんどの中で主将となり、チームを引っ張った。 高校進学で泣きたいほど迷った。女子野球部がある県外の学校へ進むか、選手をあきらめ県内で野球部のマネジャーをするか。母のめぐみさん(42)には「自分で決めなさい」と涙ながらに諭された。どうしていいか分からなくなった。 娘を見かねためぐみさんが頼ったのが、大稀君を指導していた岡山学芸館の前監督の山崎慶一さん(62)だ。山崎さんはこれまで、本当はプレーがしたいのに、マネジャーになった女子生徒を何人も見てきた。学校側に女子野球部の創部を提案し、グラウンドが確保できる見通しとなったことなどから創部が決定。藤本さんが入学した今年4月、新たな女子野球部の監督に就任した。 ◇ 再び同じグラウンドに立つようになった兄と妹。照れくさくて会話は少ないけれど、帰宅後、庭に直行して素振りに打ち込む兄を見ていると、莉央さんは「よし、自分も」と奮い立つ。一方の大稀君も「妹はいつも刺激をくれる。妹のためにも戦いたい」。 女子野球部は26日から、兵庫県丹波市である全国高校女子硬式野球選手権大会に出場。32チームの頂点を目指す。莉央さんは言う。「目標は兄と同じ。きょうだい一緒に戦います」。「GAKUGEI」の文字が胸に躍る兄とほぼ同じユニホームで、グラウンドに飛び出す。 |
女子公式野球部創設 妹と兄、同じグラウンドに立つ
新闻录入:贯通日本语 责任编辑:贯通日本语
相关文章
「グラウンドでは下を向くな」亡き父の教え、守った主将
5回までパーフェクト投球…6回に悪夢「メンタルが…」
1年生投手「まさか」の完投 降雨で仕切り直しの試合
おかやま山陽、開幕試合で敗戦 あと1死でまさかの展開
ジンバブエ代表率いる異色の監督 夢は五輪と甲子園
甲子園まであと一歩、実感したのは オリックス頓宮選手
エースめざした球児選んだ裏方 友の一言で迷い乗り越え
ベンチ外の3年生、引退試合のドラマ 「ありがとう」
創志学園・西、「投げたい」本能 チームの方針への葛藤
元五輪選手の母が野球の指導役 甲子園で直伝の球さばき
カミソリシュートの平松政次さん、変わらぬ1球への思い
仲間と島抜け出した ハンセン病の元球児、ひと夏の遠征
帽子飛ばす力投 焦らずアウト1つずつ 創志学園・西
創志学園の2年生エースがV投、最速150キロで奪三振
甲子園に行って、被災地に元気を 倉敷商、準決勝で涙
「真備に勇気を」豪雨被災の幼なじみ同士、真っすぐ勝負










