世界自然遺産の屋久島と、遺産登録を目指す奄美大島。世界でこの両島だけに自生する植物がある。シダの仲間で絶滅危惧種のオオバシシラン。5年前に新種と発表されたが、近年、ごくわずかしかない自生地で株数の減少が確認されており、「近い将来、絶滅の恐れもある。早急な対策が必要だ」と専門家が警鐘を鳴らしている。
研究を続ける国立科学博物館の海老原淳研究主幹によると、オオバシシランは世界に約40種があるシシラン属のシダ植物。樹上や岩の上に着生して育つことが多く、葉の長さは20~30センチ、幅1・5~2センチ。以前は外国産の近縁種と同一とみられていたが、日本と台湾のチームによって2014年、日本固有の新種だと報告された。
自生地は屋久島の3カ所と、新種発表後に判明した奄美大島の1カ所が知られるだけ。環境省レッドリストで絶滅の恐れが最も高い「絶滅危惧ⅠA類」に分類されている。特に屋久島ではシカの食害を受けており、「早急な対策が望まれる」と海老原さん。奄美でも盗採や生息環境の変化に伴う影響が心配され、継続的な監視や調査が必要だという。
シダ植物は同じ種でも、目に付…