(15日、高校野球山口大会 下松4―3高森)
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最速140キロ超の速球が武器の高森の主将、高田稜平君(3年)。雨で2日連続のノーゲーム。この日、下松の好投手との息をのむ投手戦は、ある程度予想された展開だった。
見せ場は、高森が1点リードの五回裏1死三塁、高田君が下松の7番打者を迎えた場面。ここまで被安打3、1失点。高田君は直球で押すつもりだった。
2球目。投球動作に入った瞬間、打者がバットを倒し、スクイズの構えをするのが見えた。とっさの判断で変化球を高めにコントロールした。打球は遊飛。飛び出していた三塁走者との併殺で、一気にピンチの芽を摘んだ。
「今日の試合、一番うまくいった」。高田君はマウンド上で、大きくガッツポーズした。
幼稚園から野球をはじめ、ずっと投手。中学2年のときにひじを痛め、高校1年までは投球制限をしながらの練習だった。昨夏の大会では初めてエースナンバーを託されたが、開幕1週間前に西日本豪雨が発生し、練習で使っていたグラウンドが浸水。満足いく調整ができずに1回戦負けし、悔いが残っていた。
以来、走り込みを繰り返し、体づくりに励んだ。結果、体重は7キロ増え、球速は高校入学時から20キロアップした。
この日、十三回途中まで153球を1人で投げ抜いた高田君。四回には適時三塁打を放ち、一時逆転となるホームも自ら踏んだ。
「悔しくないといったらうそになる。けど、これからこの悔しさをバネにして、もっとうまくなって、プロを目指したい」(藤牧幸一)