下関国際の野球部員は51人。そのうち、山口大会でベンチ入りした選手は20人。甲子園ではさらに2人減る。つらい練習を共にし、誰にも負けない努力を重ねてきても、わずかな差でベンチ入りメンバーから漏れた選手たちがいる。その悔しさをこらえて、仲間のサポートに全力を尽くしている2人を紹介する。
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「送球弱いぞ」「ボールをしっかり見ろ」。下関国際の練習場に割り当てられた兵庫県西宮市の野球場。グラウンドだけでなく、スタンドからも大きな声が飛んだ。ボール拾いをしていた中島隆徳(たかのり)君(3年)と井本雅也君(同)だ。
共に控えの外野手として山口大会でベンチに入った。だが、決勝戦の2日後、部室の前で発表された甲子園でのベンチ入り選手18人の中に2人の名前はなかった。
中島君は下関国際でプレーしていた兄・弘喜さんに憧れて入学。井本君は厳しい練習を経験すれば成長出来ると考えて野球部に入った。冬場の1日2千スイング、繰り返される800メートル走……。体が悲鳴を上げるような練習をベンチ入り選手と同じように乗り越えてきた。すべては甲子園の土を踏むためだった。
「悔しい」。2人は発表に唇をかんだ。だが、すぐに気持ちを切り替えた。「チームの一員であることに変わりはない」。グラウンドに立っているときと変わらない気持ちで声を張り上げ、「いま自分に出来ることは」と用具の準備や片付けに飛び回る。
坂原秀尚監督は「チームの大事な仕事をしてくれている」。浜松晴天(そら)主将も「外れた3年生の思いに報いたい」と2人を含む、ベンチ入り出来なかったメンバーの気持ちを受け止めている。(藤野隆晃)