(16日、高校野球山口大会 下関商2―0下関西)
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「打ち過ぎ。やめてくれよ」。五回裏、下関西の遊撃手、船木海斗君(3年)が、二塁走者の下関商の庄島大翔(ひろと)君(3年)に声をかけた。庄島君は塁上で思わず苦笑いした。
2人は幼稚園が一緒で、小学3年から中学卒業まで同じチームで白球を追いかけた幼なじみ。船木君が「庄島は頼りがいがあって一目置いている」と評せば、庄島君は県内屈指の進学校に進んだ船木君を「海斗は野球と勉強を両立させて尊敬できる」と語る。
互いに主将として迎えた最後の夏、思いがけず1回戦で対戦した。庄島君は三回と五回、低めの直球を振り抜いて右前安打。五回は失策もあって1点目のホームを踏んだ。船木君も五回、送りバントを決めて一塁走者を得点圏に進めたが、後続にあと1本が出ず敗れた。
試合後のあいさつで、庄島君は船木君に「ありがとう」と伝えた。船木君がいたからこそ自分も頑張れた。そんな思いを込めた。船木君は「次も絶対勝てよ」。切磋琢磨(せっさたくま)しあった良きライバルは、笑顔で肩をたたいて励ました。