世界保健機関(WHO)の説によると、新型コロナウイルスによる肺炎の患者の6人に1人が重症化し、呼吸困難の症状が出るという。感染症が引き続き蔓延する中、中国の外では一体どれほどの人工呼吸器の需要があるのだろうか。「環球時報」が伝えた。
米国で96万人に人工呼吸器が必要?
米国のトランプ大統領は28日、同国のメーカーに人工呼吸器10万台を「相当速く」生産するよう要請したと明らかにした。その1日前には、ニューヨーク州のクオモ知事からの、感染症のピーク期に同州では3万台から4万台の人工呼吸器が必要になるため同州に優先的に配置してほしいとの要請を拒否した。
実際、他国と比べて、米国は以前から人工呼吸器大国だった。アメリカ集中治療医学会(SCCM)がこのほど発表したデータは2009年の調査に基づくもので、米国には全国で約20万台の人工呼吸器があり、このうち病院には高機能型が約6万2千台と基本的機能を備えた旧型が9万8700台あり、国の緊急医薬品戦略物資貯蔵庫には非高機能型が約1万2700台あるとしている。ジョンズ・ホプキンス大学健康安全保障センターの18年の報告では、米国にある人工呼吸器は約16万台で、別に8900台のストックがあるということだった。
同報告によると、米保健福祉省(HHS)は以前、中レベルくらいの感染症の場合、米国国民86万5千人が入院し、そのうち約6万5千人に人工呼吸器が必要になる。状況が深刻化すれば、990万人が入院し、74万2500人に人工呼吸器が必要になると試算していた。米メディアの報道によれば、米国病院協会(AHA)は今回の新型肺炎で米国国民96万人に人工呼吸器が必要になると予測する。
医療設備への需要が急速に増加する状況を踏まえ、過去数週間に、米国のゼネラルモーターズ(GM)、フォード、テスラといった自動車メーカーが、「すぐにも必要な医療設備の製造を支援する」と表明。しかしトランプ大統領は27日にGMを名指しして、「動きが遅すぎる上、価格も高すぎる」と批判した。米政府は少し前に朝鮮戦争時の「国防生産法」を発動すると宣言し、GMには米政府の発注を受け入れ優先的に取り組むよう求めた。