糖尿病研究の専門家17人でつくる国際チームはこのほど、New England Journal of Medicine誌に掲載された書簡の中で、新型コロナウイルスによる肺炎は健常者の糖尿病を引き起こすとともに、糖尿病患者の深刻な併発症を引き起こす可能性があるとした。科技日報が伝えた。
北京大学人民病院内分泌科科長を務める北京大学糖尿病センター長の紀立農教授を含む世界トップクラスの糖尿病及び内分泌分野の専門家20人でつくる国際専門家チームは数日前、ランセット誌で「新型コロナウイルス感染による糖尿病合併患者の管理に関する実用的提案」を発表した。同提案によると、新型コロナウイルスによる肺炎に罹患した高齢の糖尿病患者は、この疾患により命を落とす危険性がより高い。同時に新型コロナウイルスは事実上、健常者を新たな糖尿病患者にする可能性がある。
紀氏は「専門家は、多くの国の新型コロナウイルス感染者のうち糖尿病患者が高い割合を占めており、そしてこれらの糖尿病患者が新型コロナウイルスによる肺炎を罹患した場合、集中治療室に入るか命を落とす危険性がいずれも極めて高いことを発見した」と述べた。
研究者は、世界で新型コロナウイルスによる肺炎と診断された患者のうち20-50%の患者が糖尿病を患っていたことを発見し、糖尿病が新型コロナウイルスによる肺炎の感染の深刻さと密接に関連する基礎疾患の一つであることを証明した。新型コロナウイルスの感染が深刻な地域の疫学観察や一部の国の保健センターと病院の報告によると、糖尿病患者が新型コロナウイルスによる肺炎で命を落とす可能性は、糖尿病を罹患していない患者を50%以上も上回る。
同提案は、新型コロナウイルスが糖尿病を誘発することはまだ証明されていないが、その感染が糖尿病を誘発しうる要素であることを証明する根拠があるとした。
専門家によると、新型コロナウイルスはACE2(アンジオテンシン変換酵素2。気道上皮細胞、腸、膵臓などで見られ、新型コロナウイルスの細胞侵入の受容体となる)との結合性が高い。ウイルス感染がより活発なACE2受容体を通じ糖尿病患者の血糖値を高め代謝の異常を引き起こし、そしてウイルスが引き起こす潜在的な膵β細胞損傷によりインスリンが不足する。そのため新型コロナウイルス感染により糖尿病患者の症状が悪化し、健常者の糖尿病を誘発する可能性がある。
一部の新型コロナウイルスによる肺炎の患者は臨床上、糖コルチコイドが使用された。糖コルチコイドによる治療は血糖値の変動を引き起こしやすい。糖コルチコイドを長期的に治療に用いれば、糖尿病の発生リスクが36-131%上昇する。専門家は「厳しく血糖値を制限し、栄養バランスをとり合理的な生活時間を守り、前向きな気持を維持することが、糖尿病患者の新型コロナウイルスに対する最良の防御手段だ」と述べた。(編集YF)
「人民網日本語版」2020年6月22日