2020年は、旧暦8月15日にあたる中秋節が中国の建国記念日である10月1日の国慶節とちょうど重なり、祝福ムードがさらに高まりをみせる。「団らん」がテーマの中秋節には、家族や友人と集まり、さまざまなタイプの月餅、おいしいお酒、果物を一緒に味わい、1年で「最も美しい」月を眺めるのが中国人の恒例行事だ。
実際、中国伝統文化の影響を受けて、中秋節は今や中国の伝統的祝日にとどまらず、徐々にアジアの一連の国々のイベントデーにもなっている。祝い方は少しずつ異なるものの、日々の暮らしへの思いと未来への願いを込める点はどこも共通だ。
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日本:日本版ハロウィーン
日本では中秋節は「十五夜」、「芋名月」、「中秋の名月」などと呼ばれる。中秋節のこの日、日本人は伝統的な服装をして月を眺める。月を見ながらもち米で作ったお団子を食べ、これを「月見団子」と呼ぶ。
お寺や神社の中には中秋節に「お月見の会」を開くところもある。月を眺めるだけでなく、月餅や果物も用意される。ただ日本の月餅はしょっぱいものが多い。また中秋節当日、日本人は自宅の玄関に花を飾る。
「お月見泥棒」は日本独自の中秋節の風習だ。この日だけは子どもたちがお月見のお供えを盗んでも許される。
お月見に供えられる芋類やお団子などが盗まれれば農作物が豊作になると考えられ、縁起のいいこととされている。また子どもたちは月からの使者と考えられ、この日はお供えを盗んでもいい。お供えを盗んだ子どもはお金持ちになると言われ、7軒の家からお供えを盗むと最も縁起がいいとされる。
中秋節は農作物の豊作と関連づけられているため、今でも福島県、茨城県、千葉県など農業が盛んな地域にはこの風習が伝わる。
現在、一部の地方の子どもたちが、「お月見しましょう」、「お月見泥棒です」などと言いながら家々を回ってお菓子や果物を集めることから、中秋節は日本版ハロウィーンなどとも呼ばれている。
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韓国:韓国版清明節
毎年の旧暦8月15日は韓国の中秋節でもあり、韓国では「秋夕」と呼ばれる非常に重要な伝統的祝日だ。この日、韓国の人々も日本の人々と同じように、伝統的な服装をし、米粉などの材料でできた餅を松の葉で蒸した松餅(ソンピョン)を作るが、自分では食べず、お互いに贈り合うのが習わしだ。
韓国では、中秋節は豊作を感謝する祝日というだけでなく、祖先をまつり墓参りをする日でもあり、春節(旧正月)より重視されるとさえいえる。韓国の今年の「秋夕」連休は9月30日から10月4日までで、故郷に帰って家族と団らんし、祖先をまつり、墓参りなどをするのが伝統だ。新型コロナウイルス感染症のため、韓国政府は今年の連休はできるだけ里帰りを控えるよう呼びかけるが、それでも故郷に帰ることを選ぶ人は多い。
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ベトナム:子どもの日
ベトナムの中秋節は子どもの日でもある。ベトナムでは中秋節の前の時期は親たちが農作業で忙しく、子どもと一緒に過ごす時間がなかなか取れない。そこで中秋節は農作業が一通り終わった後で子どもたちに埋め合わせをする日になった。
市場にはいろいろな味・スタイルの月餅、多様なデザインの提灯、色とりどりのおもちゃなど、中秋節に合わせて食品や玩具がずらりと並び、子どもたちの顔をみるとこの日を心待ちにしていることがわかる。
中秋節期間に、各地では提灯イベントが開かれたり獅子舞が練り歩いたりする。子どもたちは鯉をかたどった提灯をぶら下げて外に遊びに行き、これには「鯉の滝登り」との寓意が込められている。
タイ:月餅ではなく果物を食べる
タイは仏教国で、中秋節は「祁月節」と呼ばれている。この日、タイの人々は必ず民族衣装を着て、お寺に行って観音様を拝む。タイの文化では、観音様は一家の安寧を守る神様だ。タイの人々は月餅は食べず、サトウキビや桃を食べる。
カンボジア
カンボジアの人々は中秋節を「拝月節」と呼びならわし、敬虔な気持ちで月をまつり、幸福を願う。おまつりが終わると、老人たちはもち米を蒸して平たく成型した扁米を子どもたちに与え、子どもたちはもち米一粒一粒をこれ以上かめなくなるまでしっかりかみ続けなければならない。この風習には「欠けるところがない」、「仲睦まじい」といった意味が込められている。
このほか、シンガポール、マレーシア、フィリピンなどの中国系住民が多い国でも、人々は中秋節を過ごす。月餅を食べる、提灯を下げて練り歩く、竜舞や獅子舞などは、どれもお祝いに欠かすことのできない風習だ。(編集KS)
「人民網日本語版」2020年10月1日