サッカーのワールドカップ(W杯)1次リーグG組の韓国ーフランス戦。韓国は前半9分に先制され、0-1のまま後半も残り9分。必死に「テーハミングク(大韓民国)」の大合唱を続けるサポーターの声援に後押しされ、韓国は強豪フランスから同点ゴールを奪った。スタンドの真っ赤な波が一段と大きく揺れた。
後半開始からピッチに立った薛ギ鉉の右クロスを、左サイドにいた曹宰ジンが頭で折り返す。相手守備のすき間に素早く入った朴智星が右足で合わせ、フワリと浮いた山なりのシュートがGKの頭上を越えてゴールへ吸い込まれた。
8年前の世界王者と1-1。胸を張っていい。「選手にはしばし、この快挙を喜ばせたい。ここは韓国じゃないのに、フランスと引き分けたのだから」とアドフォカート監督。殊勲の朴智星は「誰も予想できなかった結果。すごく充実感がある」と目を輝かせた。
地元開催の前回W杯はアジア勢初の4強入りを果たした。おかげで一時は国内リーグも活況を呈したが、人気を保てず4年間で観客動員数が激減した。代表チームの評価も急落した時期があった。
この4年で3人目となるアドフォカート監督が、強い韓国を復活させた。この日も薛ギ鉉をウイングとして起用し、相手に走り勝つ作戦が的中。薛ギ鉉は「任された仕事の重要さは分かっていた。個々の力で劣っても、総合力で上回れる」と晴れやかな表情で言った。(共同)
毎日新聞 2006年6月19日 10時02分