ル・マンのMF松井大輔(24)がフランス・リーグで日本人初ゴールを記録した。23日、ホームでのストラスブール戦の前半42分、ゴール左前から25メートルのミドル弾。右足でカーブをかけた技ありの得点で歴史に名を刻んだ。松井は前半2分にもアシストを記録して2-0の勝利を演出。チームは10位から6位へ浮上した。
GKが伸ばした右手も及ばない。回転がかかったボールは美しい弧を描いてゴール右上へと吸い込まれた。見届けた松井は両手を広げる飛行機ポーズで走り出した。すぐにイレブンがつくった祝福の輪にのみ込まれた。
「とてもうれしい。勝ち点3を取って初ゴールもあった。こういうふうに続けなくてはいけない」。会見冒頭はフランス語で振り返った。12節目で決めた待望の初ゴールは、この瞬間を見通した“予告ゴール”だった。
数日前に語学教師から「そろそろフランス語でインタビューを受けないと」と声を掛けられた。渡仏2年目で日常会話は問題ない。現地報道陣の取材は日本人通訳を通してきたが“自立”への助言に気持ちを高め「(得点すると)決めてましたね」と振り返る。まさに有言実行の一撃だった。
出直しを期した試合でもあった。日本代表の東欧遠征直後だった15日の前節リール戦。練習で集中力を欠いて先発から外され「1から見つめ直したい」と誓っていた。練習から集中して先発に復帰したこの日は、守備やボールを離れた動きでも労を惜しまなかった。開始2分に左サイドから折り返して先制点を演出。今季4アシストはリーグ首位タイだが、持ち味の技術は感性だけでは生きない。豊富な運動量と周囲との連係があってこそ。アンツ監督は輝きを取り戻した松井を「いい練習をすれば、いい収穫を挙げられる」と称えた。
東欧遠征では手応えも得た。「それを持って帰らないと」。成果をクラブで生かし、また成長して再び代表へ。フランスを踏み台にドイツを目指す挑戦は始まっている。