ノムさんが野口獲得をめぐるGT一騎打ちムードに待ったをかけた。来季から楽天の監督に就任するシダックス・野村克也監督(70)が31日にFA宣言した中日・野口茂樹投手(31)の争奪戦に参加する意向を示した。
巨人、阪神が相手でもあきらめない。神奈川・横浜市内で行われた東芝との練習試合で指揮を執った野村監督は、野口のFA宣言に触れ「ピッチャーは何人いても邪魔にならない。(補強は)ピッチャーが最優先とフロントに言ってある」と発言。「まだまだスピードは出るんだろ?」と報道陣を逆取材しながら、今季12球団最低のチーム防御率5・67に低迷した投手陣再建の切り札に野口を指名した。球団側も野村監督の意向を受け、30億円以上の補強費を約束。さらに来季の投手コーチを2人増員し、最近2年間で7勝に終わった99年のMVP左腕再生への準備を整えている。
FA交渉解禁となれば戦力不足に加え、地理的ハンデは否めない。しかし野村監督は卓越した野球理論を押し出し、野口説得に乗り出していく。5年ぶりのプロ球界復帰はまず巨人・阪神の攻勢をはね返すことから始まる。
≪巨人も熱烈ラブコール≫FA宣言した中日・野口に対し、巨人の清武球団代表が熱烈なラブコールを送った。都内の球団本部で「興味ある投手。まだ十分歴史をつくれる。今回のFA対象選手の中でも上位にランクされてしかるべき」と話し「うちにはいないタイプ」と賛辞を贈った。また、宮崎で秋季キャンプ中の原監督も「魅力的な投手であることは間違いない」と高評価。獲得できれば工藤、高橋尚、内海、林とともに強力な左の先発陣を築けるだけに、球団は全力を挙げて野口獲りに乗り出す。
≪阪神も獲得に意欲≫阪神も野口のFA宣言には大きな関心を抱いている。岡田監督は「投手は何枚おってもいいからな」と話し、獲得に乗り出すことを強く示唆した。今季のローテーションで左腕は井川、下柳の2人。これに野口が加われば強力な左腕トリオが完成する。日本シリーズでロッテに4連敗。来季の日本一を目標に掲げているだけに、全力を挙げて獲得に動くことになりそうだ。中日時代にチームメートだった矢野も「まだまだやれる投手。力になれる部分もあると思う」と期待を寄せていた。
≪野口「あとは待つだけ」≫野口はこの日午前、ナゴヤ球場で中日関係者に、FA権行使に必要な書類を提出した。巨人、阪神、楽天が関心を示しており、野口は「(書類は)提出しました。あとは待つだけです」と語り、移籍の可能性が高いことを示唆した。99年に19勝を挙げてMVPに輝き、最優秀防御率のタイトルも2度獲得したが、左ひじの故障などもあり、昨年は4勝、今季も3勝にとどまった。