20日の欧州チャンピオンズリーグ(CL)決勝トーナメント1回戦で、国内リーグで低迷するレアル・マドリード(スペイン)がバイエルン・ミュンヘン(ドイツ)を降した。レアルを奮起させたのはベッカムの執念だった。今季限りの退団後に米国へ渡る31歳にとって、欧州CLは最後の舞台。好機をつくり、守備にもひたむきな姿勢が、3-2の勝利を呼び込んだ。
前半10分、ラウルのゴールで先制したあと1-1の28分にベッカムがCKをける。ファーサイドのエルゲラが合わせたボールをラウルが頭で押し込んで2点目を引き出した。
さらに34分につかんだ左サイドのFKは、ライナーのボールを送りファンニステルロイが足で合わせた。ゴールを演出するだけでなく、状況に応じてパスに緩急をつけて相手守備を幻惑させる「黄金の右足」は、レアルの攻撃リズムをつくり出す不可欠な歯車だった。
2003年にレアルへ移籍後、ベッカムはタイトルから見放され、3季連続の無冠が退団の一因にもなった。欧州CLで有終の美をという思いが胸の内にあるのだろう。カペロ監督が自らの辞任のうわさに固く口を閉ざし「責任感の強いベッカムの仕事がもっとも輝いていた。戦列に戻った彼のおかげでチームはうんとよくなった」と褒め上げた。(共同)
毎日新聞 2007年2月21日 18時15分 (最終更新時間 2月21日 18時23分)