社会人野球の第62回JABA東京スポニチ大会(日本野球関東地区連盟、スポーツニッポン新聞社主催、毎日新聞社後援)第3日の8日は、神宮球場など2会場で準々決勝4試合を行った。JR九州は新人・浜野(国士大)の今大会完封一番乗りの好投でヤマハを1-0で降した。ホンダ鈴鹿は4投手の継投で前回覇者の日産自動車を4-2で破り、ホンダは一回に7点を奪って松下電器に12-2とコールド勝ち。東芝はJR東海に9-7と打ち勝った。最終日の9日は神宮球場で準決勝、決勝を行う。
▽準々決勝
松下電器1000100◆2
ホンダ 700113×◆12
(七回コールド)
(松)山本司、山本之、四丹-井上(ホ)大田、三橋-佐伯▽本塁打 井上(松)
○…松下電器が2年連続の4強入りを逸した。先発した4年目右腕・山本司が一回、3四死球に被安打5で7失点と大乱調。流れを取り戻せないままのコールド負けに、北口監督も「守りを固めてと挑んだシーズン最初の大会で、この負け方では」と、チームに猛省を促した。昨季、都市対抗は1回戦負け、連覇を狙った日本選手権も2回戦で敗退と不本意な成績に終わっただけに、今年にかける意気込みは強い。「支えてくれる職場の人たちのためにも、全力で戦い抜く」。北口監督は表情を引き締めた。
ホンダ鈴鹿
200200000◆4
101000000◆2
日産自動車
(鈴)月野、児玉、久武、松岡昌-西崎(日)野上、秋葉、廻-松田、中原▽本塁打 西小野、平手(鈴)
○…ホンダ鈴鹿が小刻みな投手リレーで日産自動車を降した。先発・月野が三回、2四球と暴投で1死一、三塁とすると、すかさず児玉にスイッチ。犠飛で2点目を失ったものの、児玉は七回まで散発2安打と好投。八回は久武、九回は松岡昌と、ともに6年目の「抑えの2枚看板」を投入し、右投手4人で日産を振り切った。攻めても、今季、鷺宮製作所から移籍の西小野、新人・平手(中京大)がそれぞれ2点本塁打。新戦力もかみ合った会心の勝利だった。準決勝はホンダとの「兄弟対決」。與本監督は「おそらく公式戦では初対決。楽しみです」と、密かな闘志を見せた。
東芝
000070002◆9
000300301◆7
JR東海
(東)木戸、藤田、アン、増井-飯田(J)川野、植野、旛山、伊藤-宮沢、上豊▽本塁打 大河原、安田(東)
○…東芝の新人・増井浩俊(駒大)が九回から登板、1点を失ったもののリードを守り、まずまずのデビュー。前日の日本通運戦では相手チームにいる2歳下の弟、達哉が登板したが、ブルペンにいた兄の出番はコールド勝ちで消え、「兄弟対決」は実現しなかった。「弟とは試合後にメールで話した。早く投げたかった。社会人は甘い球だと長打されるので慎重に投げた」と増井。140キロ台の速球で東都大学通算8勝の即戦力右腕。今後、社会人3年目右腕の弟との投げ合いが楽しみだ。
JR九州
001000000◆1
000000000◆0
ヤマハ
(J)浜野-中野(ヤ)渡辺、古岡、鈴木-松尾
◇新人・浜野が大仕事
東都大学リーグ2部では芽が出なかったJR九州の22歳、浜野が社会人初マウンドで大仕事をやってのけた。
「1年目から投げさせてもらっているので逃げの投球はしたくなかった」。右横手からの直球と大きく曲がるスライダーの緩急を生かした。五回以降は無安打。味方が九回の好機を逃しても「1-0の方が集中できる」と冷静だった。
神戸西高では甲子園に縁がなく、中継ぎ専門だった国士大では「気持ちが弱くて崩れてばかり」で通算1勝。転機は昨春のJR九州との練習試合。素質を見抜いた大学OBの吉田博之監督に誘われ、入社を決意。同社の練習で投球フォームを修正されると、精神面まで安定した。吉田監督は「練習中に『こんないい球を今まで投げたことありません』と本人も驚くほどの変わりっぷりだった」と話した。
上京して大学野球でぱっとしなかった神戸っ子が、九州で花開こうとしている。【大矢伸一】
○…9日の試合…○
【神宮】▽準決勝 東芝-JR九州(9時)ホンダ-ホンダ鈴鹿(11時半)▽決勝(14時)
毎日新聞 2007年3月8日 17時53分 (最終更新時間 3月8日 21時23分)