東京の六本木ヒルズの一室で合成麻薬ＭＤＭＡを使用した麻薬取締法違反の罪で先月、執行猶予付きの有罪判決を受けた押尾学元被告。

　警視庁は４日、マンションに一緒にいて死亡した飲食店従業員の田中香織さん（当時３０）にＭＤＭＡを譲り渡した疑いが強まったとして、押尾容疑者の逮捕状を取りました。なぜ、再び押尾容疑者へ逮捕状が出されたのでしょうか。

　押尾容疑者の知人から「六本木ヒルズの部屋で女性が死んでいる」と通報があったのは、８月２日午後９時１９分。しかし、田中さんの容体が急変したのは午後６時半ごろだったとみられています。

　警視庁によると、押尾容疑者はその直後、複数の友人らに「田中さんの容体がおかしい」などと電話をかけ、友人らは「通報したほうがいい」と言っていたといいます。

　しかし、１時間ほど経って連絡を受けたマネージャーらが駆けつけると、押尾容疑者はその場を立ち去ったのでした。

　通報が早ければ、田中さんは死なずにすんだのか。死亡の経緯をめぐって捜査を続けた警視庁捜査一課が注目したのが、押尾容疑者が田中さんに送った「来たら、すぐいる？」というメールでした。

　押尾容疑者は裁判などで「ＭＤＭＡは田中さんからもらった」と話し、このメールの意味についても薬物を示すものではないと否定していました。

　しかし、警視庁は押尾容疑者と交際した複数の知人女性の証言などから、押尾容疑者が自らＭＤＭＡを用意し、田中さんに勧めた可能性が強まったと判断したのです。

　５日朝、田中さんの母親が胸の内を語りました。

　「みなさんが『お父さん、お母さん、あきらめないでね』って、頑張ろうって、私たちを励まして下さったのが励みでした」（田中さんの母親）
（05日14:39）