26日は日本の科学技術についても仕分けが行われました。そこから見えてきた日本の将来とは。
「全部言い訳から入るんですよ。常に問題意識を持っていただかなければいけないのに、すべての質問にすべて言い訳で・・・」(枝野幸男行政刷新相)
26日、仕分け人たちが切り込んだのは、科学技術予算でした。26日だけで6つの法人の23の事業が仕分けの対象となっています。この科学技術予算、仕分けられるのは今回が初めてではありません。
「世界一になる理由は何があるんでしょうか。2位じゃだめなんでしょうか」(スーパーコンピューター関連予算について第1回事業仕分け 去年11月)
去年の事業仕分け第1弾。科学技術予算をめぐり、事業の凍結や大幅な縮減が相次ぎ、科学者からの猛反発を受けました。
「日本は天然資源がない。科学技術が我が国が国際競争を生きていくうえで、唯一のすべではないかと思います」(ノーベル化学賞受賞者 野依良治氏 去年11月)
ノーベル化学賞を受賞した野依氏は当時、こう仕分けを批判しました。その野依氏が理事長を務める理化学研究所が、26日の仕分けに登場。ほかの研究法人との研究のすみ分けについて・・・
「1つの独立行政法人でやっていくことも可能ではないか。なぜ一緒にやれないのか」(民主党 菊田真紀子衆院議員)
「両方の特徴を生かしながら、むしろそれを総合していって、日本の総合力を高めていきたい」(理化学研究所側の説明員)
仕分け人からは厳しい突っ込みが相次ぎましたが、判定は3事業中、2つの事業が現状維持となりました。
「若い研究者を育てることが我々にとっても重要な課題。失敗を恐れない精神が非常に必要だと思う」(理化学研究所 土井義治理事)
そして午後からは、日本の科学技術分野の競争力を強めるため、研究者らに支払われる資金が取り上げられました。
「そこのパイが少なくなってしまうと・・・」(ポストドクター市川憲人さん)
ポストドクター、通称ポスドクの市川憲人さん(33)。ポスドクとは、博士の資格を持ちながらも正式な就職をせず、1~2年の短期契約で大学や研究所に籍を置く研究者のことです。
ネットワーク理論を研究している市川さんは現在、契約を打ち切られ収入はありません。その厳しい雇用条件から、ポスドクは高学歴ワーキングプアとも言われます。
「自分なりにこの研究は大切だと思っている研究をしている。そこまでやっているのに、それが評価されない」(ポストドクター 市川憲人さん)
フィールズ賞を受賞した京都大学の森重文教授も、こう話します。
「(実家が)零細企業を営んでいたので、先の見込みのないものをやるよりは後を継げと・・・」(京都大学 森重文教授)
そして、科学技術分野は長期的な視点が必要だと言います。
「今成果が上がっているものというのは何かといえば、昔に先人たちが種をまいたのが芽が出て、それを刈り取ろうとしている。将来のために種まきをしておかなければ、刈り取るべき果実はなくなってしまう」(京都大学森重文教授)
26日の仕分けでは競争的資金の是非ではなく、国の科学技術戦略そのものに批判も出ました。
「総合科学技術会議自体を抜本的に見直すところから考えないと、物事は始まらない」(仕分け人 寺田学議員)
しかし、この会議の議長は鳩山総理、鳩山総理を批判したことになるのです。会議の見直しには、独立行政法人側も賛同しました。
長期的視点が求められる科学技術分野。そもそも、数年単位の中期的な目標しか掲げられない独立行政法人で扱うべきなのでしょうか。議論は残されています。(26日18:03) |