内閣府は12日の臨時閣議に経済財政の中長期試算を提出した。高い成長を実現した場合でも国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)は10兆円近い赤字となり、政府が目指してきた2020年度の黒字化は達成できない見通し。
試算では名目3%以上、実質2%以上の経済成長を続ける「経済再生」シナリオと、潜在成長率並みである名目1%台半ば、実質1%弱の成長率が続く「ベースライン」シナリオの2つを示した。どちらも17年4月に消費税率を10%に引き上げることが前提だが、名目3%成長を続ける場合で20年度に9.4兆円、潜在成長率並みの場合で16.4兆円の赤字が残る。政府は夏までに財政健全化計画をまとめる方針だが、20年度の黒字化の実現には抜本的な歳出の削減や消費税率の再引き上げは避けられない。
15年度の基礎的財政収支の赤字は16.4兆円と見積もった。国内総生産(GDP)比は3.3%で、政府の掲げる「基礎的財政収支の赤字のGDP比を15年度までに10年度から半減する」との目標はかろうじて達成する。〔日経QUICKニュース(NQN)〕