【NQNニューヨーク=神能淳志】20日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反発した。終値は前日比154ドル67セント(0.9%)高の1万8140ドル44セントと、昨年12月26日の終値(1万8053ドル71セント)を上回り、約2カ月ぶりに過去最高値を更新した。ギリシャへの金融支援の延長が決まったことが好感され、米株式相場を押し上げた。
ギリシャへの金融支援延長合意を受け、NY株に買い安心感が広がった(20日、ニューヨーク証券取引所)=ロイター
欧州連合(EU)は20日開いたユーロ圏財務相会合で、2月末で期限が切れるギリシャへの金融支援を4カ月間延長することで合意した。同国の債務問題に絡む金融・資本市場の混乱が避けられたとの見方から、投資家心理が好転。リスク資産への投資が広がるとの観測を背景に、米株式の買い安心感につながった。
朝方にはダウ平均が100ドル超下落する場面もあった。ギリシャの債務問題の行方を見極めたいとして積極的な買いが見送られるなか、米株価指数が最高値圏まで上昇していた反動から、目先の利益確定を目的とした売りが先行した。原油先物相場が下落し、大手石油株の一角が売られたことも相場の重荷となった。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は8日続伸。前日比31.266ポイント(0.6%)高の4955.966で終え、2000年3月27日以来およそ14年11カ月ぶりの高値を付けた。機関投資家の多くが運用の参考指標とするS&P500種株価指数も上昇し、前日比12.85ポイント高の2110.30と過去最高を更新した。
業種別S&P500種株価指数は全10業種のうち9業種が上昇した。「ヘルスケア」や「資本財・サービス」「金融」などが上げた。一方で「エネルギー」が下落した。ニューヨーク証券取引所(NYSE)の売買高は約8億3000万株(速報値)、ナスダック市場は約17億3000万株(同)だった。
個別銘柄では、ボーイングや医療保険のユナイテッドヘルス・グループが高い。19日夕に発表した2014年11月~15年1月の決算が減益となった高級百貨店のノードストロームは、材料出尽くし感から上昇した。建機・農機のディアは底堅く推移。20日発表した四半期決算に絡み、先行きに対して慎重な業績見通しを示したことが嫌気されたが、相場全体の上昇につれて買われた。
一方で、日用品のプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)や飲料のコカ・コーラなどが安い。レストランのヌードルズ・アンド・カンパニーは19日夕に発表した四半期決算が嫌気され、3割超下落したほか、四半期決算が減収減益だった半導体大手のマーベル・テクノロジー・グループも売りが優勢だった。