「1票の格差」が最大2.13倍だった昨年12月の衆院選は違憲だとして、弁護士グループが選挙の無効(やり直し)を求めた訴訟の判決で、福岡高裁は25日、選挙は「違憲」と判断した。昨年の衆院選を巡る訴訟で「違憲」とした判決は初めて。選挙無効の請求は棄却した。
判決は、2つの弁護士グループが全国の14高裁・高裁支部に起こした17件の訴訟の1つ。25日には広島高裁松江支部、名古屋高裁金沢支部でも判決があり、いずれも「違憲状態」との判断を示した。無効請求は棄却した。
衆院選を巡り、最大格差2.43倍だった2012年選挙について、最高裁は13年11月の大法廷判決で、国会の裁量権を一定程度認め「違憲状態」と判断した上で、各都道府県にあらかじめ1議席を割り振る「1人別枠方式」が格差の要因として見直しを求めた。
国会は13年に「0増5減」の区割り改定をして格差を2倍以内に抑えたが、昨年の選挙時点では再び2倍超に拡大。今回の訴訟で原告側は「実質的には1人別枠方式は温存されている」などと主張していた。
昨年の衆院選を巡る訴訟では、20日の名古屋高裁や23日の大阪高裁なども「違憲状態」とした一方、19日の東京高裁は「合憲」と判断が分かれている。17件の訴訟の判決は4月中にも出そろい、最高裁大法廷が年内にも統一判断を示す見通し。
公職選挙法は国政選挙の効力に関する訴訟の一審を高裁と定めている。