【デトロイト=杉本貴司】全米自動車労組(UAW)は25日、今秋の労使交渉で米自動車大手3社に対して賃上げを求めることを決めた。デニス・ウィリアムズ委員長はデトロイト市内で開いた会合で演説し「我々の目標は全員(の賃金)を引き上げることだ。(経営者との賃金の)ギャップを埋める」と述べた。
UAWは同日の会合で、賃上げや年金の拡充を盛り込んだ執行部案を賛成多数で承認した。12年ぶりの賃上げを目指す。
ウィリアムズ氏は「ミドルクラス(中間層)なしでは米国の経済は成り立たない。ミドルクラスを再建し米国を再建する」と述べた。米消費の担い手である中間層を活性化させるために、自動車業界が率先して賃上げすべきだと強調した。「我々は(会社が)悪い時も共有した。良い時も共有すべきだ」とし、労働者への配分を求めた。
焦点の一つとなるのが、米3社が経営危機だった2007年に導入された低賃金労働制度の廃止だ。24日に一部米メディアがゼネラル・モーターズ(GM)とフォード・モーターが新たな低賃金制の導入を検討していると報道。ウィリアムズ氏はこれに対し「またばかげたことを」と痛烈に批判し、同制度の廃止を訴えた。