【ジュネーブ=原克彦】ローマ法王フランシスコは12日、第1次世界大戦中の1915年に多くのアルメニア人がオスマン・トルコ帝国に殺害された事件について「20世紀最初のジェノサイド」と発言した。アルメニアは最大150万人が殺害されたと主張するが、トルコは過剰な推計だとしている。民族の大量虐殺と非難したことで、バチカン(ローマ法王庁)とトルコの関係が悪化する可能性がある。
法王は事件から100年が過ぎたのを記念したバチカンでのミサで事件を非難し、「悪行を隠すことは傷を手当てせずに流血を続けさせるようなものだ」と語った。英国放送協会(BBC)などによるとトルコ外務省は同日、「大きな不満と悲しみを感じる」と反発し、駐バチカンの大使を召還することを決めた。
フランシスコ法王は宗教や宗派の対話を重視し、昨年にはトルコも訪問した。一方、史実については開かれた議論を促す姿勢も鮮明で、今回の発言に至ったとみられる。アルメニアは歴史的に早くからキリスト教の布教を認めてきた経緯がある。同日の式典には同国の大統領も出席していた。