名古屋市内で行われた大規模土地開発事業を巡り、地権者約100人が土地交換で得た譲渡所得を申告しなかったなどとして、名古屋国税局から計約2億円を追徴課税されていたことが19日、分かった。土地交換などを巡る税法上の特例が認められず、地権者の大半は修正申告に応じた。
関係者によると、同事業ではゼネコンの矢作建設工業(名古屋市)が、同市中川区の土地(約8万2千平方メートル)を宅地や商業地などに造成した。地権者約100人のうち約30人が、所有する土地を区域内の別の土地と交換した。
所得税法では、交換のために取得した土地でないなどの条件を満たせば、地権者同士の土地交換には課税しない特例がある。しかし、同国税局は、地権者が今回取得した土地は矢作建設工業が交換用に用意したと判断。特例の対象にならず、計約12億円の申告漏れを指摘した。
また、地権者約90人は別の特例による軽減税率に基づいて申告。通常の税率との差額計数千万円を追徴課税されたという。
矢作建設工業は「委託した不動産業者には、課税される可能性があることを地権者にきちんと説明するように伝えていた」とコメントしている。