【ブリュッセル=森本学】欧州連合(EU)は20日、地中海を渡って欧州を目指す移民の急増に対処するため、密航船の取り締まりや人命救助体制の強化などを盛り込んだ緊急行動計画をまとめた。19日にリビア沖で約700人を乗せていたとみられる難民船が転覆し、ここ数年で最悪の事故になる可能性が高まっている。事態が緊迫していることから対応に乗り出す。
EUは20日、ルクセンブルクで域内の外相と内相らによる臨時の合同会合を開き、緊急行動計画で合意した。(1)EUがイタリア沖の地中海で手掛ける密航船の監視・救助活動の資金を拡充したり、活動範囲を広げたりする(2)密航船の取り締まりを強め、捕まえた船舶を破壊する(3)EUの治安関連当局どうしの連携を強める――などが柱だ。
会合後に記者会見したモゲリーニ外交安全保障上級代表は「欧州サイドからの力強い行動を示せた」と強調した。EUのトゥスク大統領は同日公開したビデオ映像で、23日に緊急のEU首脳会議を開き、移民問題への対策を首脳レベルで協議すると表明。緊急行動計画についても加盟国の連携のあり方などをさらに協議する。
EUは2014年秋からイタリア政府の要請を受け、イタリア沖で密航船の管理や救助活動を展開している。ただ、活動範囲が狭く、活動資金も限られ、効果が乏しいとの批判を受けていた。首脳会議では資金の拡充規模なども協議する見通しだ。
地中海を渡る移民・難民を乗せた密航船の多くはリビアから出航しているとされる。内戦状態に陥っているリビアは政府による国境管理がほとんど機能していない。問題解決にはリビアの安定が欠かせないとの指摘は根強い。リビアの安定へEUがどこまで関与するかも首脳会議の焦点となる。