【ソチ=共同】ロシアが国の威信を懸けて開催したソチ冬季五輪から約1年2カ月が過ぎた。黒海沿岸の五輪公園は巨大な聖火台が当時の面影を残すが、昨年10月に初開催された自動車F1グランプリのサーキットが整備され、スピードスケート会場はテニスの育成拠点に変わった。今後は施設の転用や有効活用が課題となる。
国際会議でソチを訪問した国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長は4月20日、「五輪効果で多様な顔を持つスポーツ都市に成長している」と称賛した。
ソチ五輪は、ロシア南部の保養地に総額1兆5千億ルーブル(約3兆8700億円)をかけてインフラなどが整備され、昨年2月に開かれた。現在も五輪公園には競技施設が並び、五輪マークやメダリストの名を残した記念碑があり、遊園地もある。しかし、日中でも駐車場はがら空きで人影もまばらだ。
開会式と閉会式を実施したフィシュト五輪スタジアムは大規模改修中で、2018年にサッカーのワールドカップ(W杯)ロシア大会の会場に使われる。フィギュアスケート会場に自転車のトラックを設置することも検討されている。ムトコ・スポーツ相は「維持費を考えて複合的な施設につくり替える必要がある」と述べた。
選手村は富裕層向けのリゾートマンションとして売り出され、観光客を期待して「カジノ構想」も進む。だが、ウクライナ危機に伴う欧米の対ロシア制裁や原油安が続き、国内経済の先行きは不透明だ。ロシア・オリンピック委員会のジューコフ会長は「山岳部の施設を含めて『負の遺産』にならないようにしたい」と話した。