2016年リオデジャネイロ五輪重量挙げ男子56キロ級に出場し、ドーピング違反で失格したチャグナードルジ・ウスクバヤル(モンゴル)=ロイター
度重なるドーピング違反によって2024年パリ五輪で除外される可能性がある重量挙げで、国際連盟(IWF)が次々と対策を打ち出している。7月の理事会で方向性を話し合う国際オリンピック委員会(IOC)にアピールする狙いがある。
重量挙げは08年北京五輪と12年ロンドン五輪のドーピング再検査で、全競技最多の49件の陽性反応が出た(昨年9月発表時)。その罰として、20年東京五輪では男子1階級と64選手の出場枠が削られた。
IWFのアヤン会長は「全体をクリーンにするには、まず各国・地域の出場枠の見直しが必要だ」と言う。新たな予選方式では、違反件数によって20年東京五輪での出場枠が減る。今年11月~20年4月末の予選期間で、各国・地域は男女それぞれ最大4枠、計8枠まで獲得できる。しかし、08~20年の違反数が10~19件の場合は男女とも2枠ずつまで、20件以上は男女各1枠まで減る。現時点で20件以上はロシア、カザフスタン、アゼルバイジャン、アルメニア、ベラルーシの5カ国が該当する。また、年間3件以上の違反が発覚した国・地域は最長4年間の資格停止となる。
長期的な取り組みとしては、4月にカナダの反ドーピング機関「カナダスポーツ倫理センター」との提携を発表した。効果的な競技会外検査や抜き打ち検査実施を目指すほか、教育面も充実させる。5月上旬にはドーピング対策のセミナーをモスクワで開き、違反国の関係者らが出席した。
同センターのミリア委員長は「重量挙げ界から、ドーピング文化がなくなる手助けをしていきたい」と全面的な支援を約束した。(遠田寛生)