決勝でトライを決めるなど、再三の突破で大会MVPに輝いた三重パールズのヴォーガン(右)
世界基準の大会を目指して2014年に始まった7人制ラグビー女子の日本一を決める「太陽生命女子セブンズ」(朝日新聞社後援)は今季で5年目。第1戦・東京大会を日体大、第2戦・秋田大会を今季昇格した三重パールズが制し、混戦模様となっている。小差の試合が増えた要因の一つは外国選手の増加だ。国内4都市を転戦するサーキット形式は世界でも珍しく、国際色豊かな大会になっている。
26、27日に開催された秋田大会を制した三重パールズ。決勝の日体大戦で密集から相手の球を奪い、チームに勢いをもたらした24歳のジョージア・ダールズはニュージーランド出身だ。「つい1年前まで日本でプレーするなんて思いもしなかった。まるで、夢の中にいるみたい」と笑う。
パールズは21年の地元国体を目指して結成された。監督は、大阪・啓光学園高(現・常翔啓光学園高)を率いて5度の全国優勝を果たした記虎敏和氏。おろそかになりがちな日常生活でのあいさつや時間厳守を教え、「外国の子が真面目に取り組む姿勢を大事にしている」という。
地味なプレーをいとわない外国選手に負けじと、日本選手たちも成長。斉藤聖奈主将は「彼女たちは日本の文化、パールズのルールを守ろうとしてくれる。うちが一番、外国人選手といい関係を築けていると思う」と誇らしげだ。
今季から規定が変更され、一度に出場できる外国選手は最大3人までに制限された。それでも、秋田大会では全12チームの144選手中、6チーム計26人の外国籍選手が登録。初年度の外国出身選手の登録は5人だったから、約5倍に増えた。横浜TKMの176センチの司令塔、元ニュージーランド代表のモーガン・モローは「日本の女子ラグビーは大きく進化しているし、私自身、違う環境で挑戦したかった」と参戦の理由を語る。
会場ではあちこちで英語の会話が飛び交う。東京フェニックスの元日本代表、福島わさなは「毎日のように外国選手と一緒にいる。国内にいて、こんなに英語が話せるようになるとは思わなかった」と思わぬ効用を明かす。
一方、あるチームの指導者は「外国選手の取り組む姿勢に濃淡はある。きちんとしたコーチングが行き届いていない」と課題を挙げる。日本代表は16年リオ五輪で12チーム中10位。現在は世界の各都市を回るワールドシリーズで結果を残せず、常時参戦できるコアチームから降格の危機にある。太陽生命女子セブンズで活躍した若手を代表に引き上げる機会が少なく、代表強化につながっていないとの指摘も出ている。(野村周平)