【フランクフルト=加藤貴行】英製薬大手グラクソ・スミスクラインは6日、子会社の抗エイズウイルス(HIV)薬大手、英ヴィーブヘルスケアの上場計画を取りやめると発表した。主力の医療用医薬品の減収が続くなか、成長率の高いHIV薬は自社に残し続ける方針に転換する。同時に2017年末までに総額30億ポンド(約5640億円)のコスト削減策を急ぐ。
ヴィーブにはグラクソが80%出資し、米ファイザーと塩野義製薬も出資する。グラクソは昨年、持ち株の一部を売り出し16年にも上場させる計画を打ち出していた。ヴィーブは2桁増収が続いており、英国では時価総額が170億ポンド規模の大型上場として期待を集めていた。
グラクソが同日発表した2015年1~3月期決算は、純利益が前年同期比12倍の80億8900万ポンドだった。ノバルティス(スイス)との大衆薬やワクチンの事業再編に伴う一時的な利益が発生した。
売上高は1%増の56億2200万ポンド。事業再編効果で大衆薬やワクチンが伸び、増収を確保した。ただ主力の医療用医薬品は7%減収と不振で、特殊要因を除いた営業利益は14%減の13億500万ポンドと厳しさが続いた。