【ブリュッセル=森本学】資金繰りが厳しさを増しているギリシャへの支援融資の再開を巡って、欧州連合(EU)のユンケル欧州委員長とギリシャのチプラス首相は6日、電話会談を開いた。会談後には共同声明を発表し、融資再開の交渉が特に難航している年金制度と労働市場の改革について重点的に話し合った点を強調した。交渉進展をアピールした格好だ。
EUと欧州中央銀行(ECB)、国際通貨基金(IMF)で構成する債権団も6日、ギリシャとの交渉に関する共同声明を発表。11日にブリュッセルで開くユーロ圏財務相会合で「具体的な進展を達成するため、懸命に作業している」と強調した。
EUなど債権団は「反緊縮」を掲げるギリシャに対し、包括的な財政改革案を示すまで凍結中の72億ユーロ(約9750億円)の融資を再開しない方針。資金繰りが厳しく早急な融資再開を求めるギリシャ側との交渉は難航している。電話会談後に共同声明まで出して交渉前進を演出したものの、11日のユーロ圏財務相会合での決着には不透明感が強まっている。