【カイロ=押野真也】イスラエルのネタニヤフ首相は6日夜(日本時間7日早朝)、5つの政党による連立政権を樹立することで各党と合意した。国会定数120議席のうち、新たな連立与党は61議席と、辛うじて過半数を維持した。ただ右派色は一段と強まり、周辺国に対する外交姿勢は一段と強硬になりそうだ。
3月17日の国会議員選挙で第1党となった右派政党「リクード」党首であるネタニヤフ首相が組閣作業を続けていた。リクードと極右政党「ユダヤの家」、中道右派の「クラヌ」のほか、宗教政党の「シャス」と「ユダヤ教連合」の合計5つの政党が連立政権の樹立で合意した。
閣僚ポストなどを巡って各党との交渉は難航し、組閣期限である6日夜ぎりぎりで合意にこぎ着けた。リブリン大統領の承認を経て、11日にも新内閣が発足する見通しだ。ネタニヤフ政権は4期目となるが、新たな連立与党の議席数は過半数ぎりぎりの61議席で、政権基盤は盤石とはいえない。
とはいえ中道・左派政党が連立に加わっていた前政権とは異なり、右派色が強いのが特徴だ。特にパレスチナ人国家の樹立を認めない「ユダヤの家」の影響力が強まっており、次期政権はパレスチナやイランに対し、より強硬な外交姿勢を展開することになりそうだ。
イスラエルはイランの核開発問題などを巡り、同盟国である米国との関係が悪化し、改善の兆しは見えていない。中東和平を仲介する立場にある米国は右派色が一段と強まったイスラエル新政権に対し、警戒感を強めることになりそうだ。