ラットが水に溺れる仲間を助ける行動を取ることを、関西学院大のチームが実験で示し、12日付の独科学誌電子版に発表した。ラットが窮地に立つ仲間に共感を示すことが分かったとしている。
チームの佐藤暢哉教授(神経科学)は「今後、脳のどの領域が働いているのか研究を進めることで、人が社会生活を送る上で重要な他人への共感の神経的なメカニズムや、その進化の解明につながるかもしれない」と話す。
チームは、20センチ四方の部屋が2つある箱を用意。ペアで飼育しているラットの片方を、水を張った深い部屋に入れ、もう片方を水がない浅い部屋に入れると、9割以上のペアで、水に漬かっているラットを透明の壁越しに見た片方のラットが、部屋をつなぐドアを開けた。溺れていたラットは水のない部屋に移った。
ドアを開けるまでの時間は31秒~5分で、水に漬かった経験があるラットの方が素早くドアを開けたという。いずれの部屋にも水を張らなかった場合にはこの行動は見られなかった。〔共同〕