オフィス仲介の三鬼商事(東京・中央)が14日まとめた4月末時点の東京都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)のオフィス空室率は前月末比0.04ポイント上昇の5.34%と、2013年6月(8.46%)以来1年10カ月ぶりに悪化した。4月に中央区と千代田区で竣工した大規模オフィスビル2棟で空室が残ったとみられ、空室率を押し上げた。
これまで収益が改善した企業を中心に、業容拡大に伴うオフィス拡張の動きを強めていた。だが、直近では空室率の改善幅が小幅にとどまるなど、オフィス需要に一服感が出ていた。
4月は住友不動産(8830)などが東京・中央で手がける「東京日本橋タワー」が竣工。15年に供給される大規模オフィスビルの目玉の一つとされるが、空室が残ったとみられ、オフィス空室率の上昇につながったようだ。ただ、空室率の悪化は一時的との見方もあり、当面は本格的な賃料引き上げの目安とされる5%台近辺で推移しそうだ。
一方、都心5区のオフィス平均賃料は3.3平方メートルあたり1万7257円と、前月末より0.36%(62円)上げた。上昇は16カ月連続。既存ビルの賃料が15カ月連続で上昇するなど、賃料相場は底堅かった。
大阪ビジネス地区の空室率は0.06ポイント上昇の8.77%、名古屋ビジネス地区は0.10ポイント低下の7.09%だった。〔日経QUICKニュース(NQN)〕